大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1938 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人稲垣規一上告趣意について。

所論は原審において主張されず、従つてその判断を受けなかつた事項を主張する

ものであり、刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。のみならず第一審

判決の確定したところによれば、被告人は罹災証明書によつて飯米通帳の交付を受

けることができることを知り、主食の不正受配を企て、判示の通りまず桑名市で戦

災にあつた際飯米通帳を焼失したかのように装い罹災証明書の交付を受け、次いで

これを利用して飯米通帳の交付を受け、更にこれを主要食糧購入通帳に切り替えた

外、他人名義の旅行者用主要食糧購入通帳を買受けた上、これ等を使用して判示日

時判示配給所で、係員をして正規の旅行者用主要食糧購入通帳により主食の配給を

受けるもののように誤信せしめて外食券を騙取したというのである。そして第一審

判決はその判文上明らかなように、被告人が主張の不正受配を企図しその犯意を遂

行して外食券を騙取するに至るまでの判示第一乃至第八の各所為(判示第八は未遂)

をそれぞれ一連の行為とみて各々包括一箇の詐欺罪を構成するものと判示している

のであつて、この判旨は首肯し得るのである。所論は独自の見地に立つて判旨に副

わない非難を試みるものに過ぎない。しかも本件は刑訴四一一条を適用すべき場合

とも認められない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号に従い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年三月二九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

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裁判官 眞 野 毅

裁判官 齊 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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